第１期 第一章 撰ばれし子らの戦場
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第一章 一話 白虎の蠢動
オリエンス西方の独裁国家【ミリテス皇国】、
通称【白虎】の首都にて－－
【シド】
－－ルシ・クンミよ。
【クリスタルジャマー】の調整は終わったのか？
【クンミ】
元帥閣下！
はい、すべて予定通りに！
これを作戦通り、敵の懐で起動すれば、
朱雀クリスタルの奪取は可能であります。
私にまだ人の心が残っているうちに、
この任務を果たす所存です。
【シド】
期待しているぞ。
決行の時は近い、準備を怠るな。
【クンミ】
はっ！必ずや朱雀を血の色に染め、
オリエンス平定の第一歩としてみせましょう！
【カリヤ】
……ミユウ君、重大な話があります。
【０組】のエース君が入手した情報によると－－
白虎の指導者シド・オールスタイン元帥が動きました。
目的はこの魔導院の地下に安置されている、
【朱雀クリスタル】の奪取にあります。
【ミユウ】
白虎はこの魔導院に、攻めてくるというのですか！？
【カリヤ】
ええ。我等の武器は【魔法】ですが、
白虎の武器は【科学】。
彼等の持つ白虎クリスタルは、
機械を動かす力をもたらします。
その機械の力で朱雀の防衛を破ろうというのでしょう。
しかも敵軍の中には、
白虎のルシが含まれているとのことです。
【ミユウ】
ルシ……クリスタルに選ばれた、
人を遥かに超える力を持つ存在ですね。
確かに高い戦闘力と特殊能力を持つルシなら、
魔導院の堅き守りを破る可能性もゼロではない……！
【カリヤ】
その通りです、そしてクリスタルを奪われれば、
朱雀のすべての兵が【魔法】を使えなくなります。
朱雀正規軍は、全力で
魔導院の防衛にあたる予定ですが……
最悪の事態に備え、君たち候補生も
交戦を覚悟しておいてください。
【ミユウ】
わかりました。
我々候補生も朱雀のため、魔導院のため、
戦闘準備を進めます。
第一章 二話 魔導院防衛の秘策
白虎による侵攻作戦の情報を得た朱雀は、
秘密裏に対処を開始していた
そして候補生総代ミユウ・カギロヒもまた、
八席議会議長カリヤの指示のもと、
魔導院防衛の策を練っていた……
【ミユウ】
－－敵は【クリスタルジャマー】なる新兵器で、
僕等の【魔法】を封印する作戦らしい。
朱雀軍も候補生も、魔法なしには無力に等しい。
この危機的状況に、打開策はあるだろうか？
【０組】エース。
魔法局長ドクター・アレシア、意見を聞かせてくれ。
【アレシア】
そうね……戦いの鍵を握るのは、エースになるわ。
この子は封印の影響を受けないよう、調整済みだから。
【エース】
ああ、いまは僕の魔法とカードを使って、
【全員の魔法を復旧】する儀式の構築をしてる。
【ミユウ】
さすがはドクターの育てた候補生だ。
それでこそ【０組】にふさわしい。
【エース】
もっとも術式の起動まで時間はかかる。
その間に犠牲者が出なければいいが……
【アレシア】
犠牲を気にしててもしょうがないわ。
死者のことは、クリスタルが忘れさせてくれるから。
【ミユウ】
【死の忘却】……
それが、この世界の法則だ。
【アレシア】
そう、私たちは【死した者の記憶を失う】。
知人を失えば、その人に関する思い出が削除される。
それは人が過去に囚われないようにするための理。
いわばクリスタルの慈悲なのよ。
【ミユウ】
だからと言って、
タダで差し出せる候補生の命はない！
頼んだぞ、エース。
我等の魔導院は、我々候補生の手で守るのだ。
【エース】
……了解だ。
僕はそのために、ここに来たんだから。
第一章 三話 戦いの始まる刻
【エース】
総代、クリスタルジャマーを無力化する魔法、
【アンチ・クリスタルジャマー】が完成したぞ！
【ミユウ】
本当か、エース！
よくやってくれた！
【エース】
発動時間を短縮するよう力を尽くしたが、
どうやらこのあたりが限界らしい。
【ミユウ】
なるほど……
ではそのタイムラグは、僕等の手で埋めるとしよう。
候補生各位から協力者を募る。
白虎軍がクリスタルジャマーを起動したら－－
エースがそれを破るまで、僕等の手で時間を稼ごう。
【エース】
そんな、危険じゃないのか？
君等は魔法が使えない状態で、敵と戦うことになるぞ？
【ミユウ】
心配するな、僕等もアギト候補生だ。
魔法を封じられても、時間稼ぎくらいできる。
君は安心して、アンチ・クリスタルジャマーの起動に
専念してくれ。
【エース】
……わかった。
君たちの無事を祈っている。
第一章 四話 ルシ・クンミの誤算
通称【白虎】は、朱雀領への電撃侵攻を開始
朱雀の中枢【魔導院】への奇襲を敢行した
【白虎ルシ・クンミ】率いる特殊部隊は
新兵器【クリスタルジャマー】を発動
朱雀軍の魔力の源【朱雀クリスタル】を無効化し
【魔法】を完全に封印した
【レム】
だ、ダメだよ、魔法が使えない！
【マキナ】
くっ……厳しいけど、なんとか耐えよう！
エースがきっと、ジャマーを破ってくれるはずだ！
【カリヤ】
－－候補生のみなさん。
全候補生に連絡します。
先ほど白虎のシド元帥から６時間以内の
朱雀クリスタルの引き渡し要求を受けました。
朱雀軍は徹底抗戦を選択しましたが、
この戦闘に候補生を巻き込むつもりはありません。
候補生諸君は、自らの生命を守ることを優先し、
白虎軍へ投降することを期待します。
【ミユウ】
お待ちください、カリヤ議長！
黙して屈することはありません！
反撃はここからです。
アギト候補生たる者の矜持、お見せします。
頼むぞ、エース。
最強の候補生【０組】の力を、白虎に見せてやれ！
【エース】
……了解。
詠唱を最終シークエンスに移行する。
デッキを展開型に設定……
範囲、半径４８００……
ドロー……オープン……
【アンチ・クリスタルジャマー】、実行！
【ミユウ】
アテンション！
魔導院全域で、【魔法】の復旧が確認された！
候補生諸君、恐れるな！
朱雀クリスタルは僕等を見捨てない！
魔法は絶たれてなどいない！！
指揮官機は魔導アーマー【ダーインスレイヴ】！
候補生諸君、持てる力のすべてをもって対象を撃破せよ！
【クンミ】
はぁ！？
クリスタルジャマーが効かないだって！？
はん……最悪。
魔導院に何か変なのが混じっているみたいだね。
第一章 ダーインスレイヴ討伐
討伐成功
第一章 五話 かくて戦の幕は開く
くっ、はははははは……
ふん、最悪
【白虎軍科学者】
ダーインスレイヴの反応が消えた！？
ルシ・クンミが、死んだってことか！？
【白虎軍将校】
まさか！？
候補生とは、ルシを倒せるほどの力を持つのか！？
【白虎軍科学者】
……ルシ反応がある、彼女は生存しているみたいだ。
爆発の直前に、脱出した様だが……
【白虎軍将校】
だが敗北は敗北だ。
敵の方が上手だったという訳だ……！
ならば我等も、ただちに手を打たねばならぬ。
貴様の開発した、件の【新兵器】を投入するぞ。
【白虎軍科学者】
……ああ、止むを得ないな。
すべては理想のためなんだから……
白虎軍の魔導院への強襲は朱雀全土を震撼させた
朱雀の国家元首、カリヤ・シバル６世は
【対白虎戦争】の開始を宣言したが、既に朱雀軍は－－
魔導院防衛戦で、その戦力の大半を失っており、
戦力面では白虎軍に対し著しく劣勢であった
そこで八席議会は、減少した戦力を補填するために、
候補生を正規軍へ組み込むという苦渋の選択を
するのであった……
【ミユウ】
－－アテンション。
全候補生に告ぐ。
すでに聞き及んでいるかもしれないが、
我々候補生も、戦争に参加することが正式に決定された。
突然のことに不安に思う者も多いとは思うが、
諸君等にはクリスタルから与えられた【力】がある。
候補生の力を結集すれば、決して勝てない戦ではない。
また議会も【玄武】と【蒼龍】に同盟要請を送った。
今後は朱雀・玄武・蒼龍の三国がかりで、
白虎を討って－－
【エース】
総代、遅かったようだ！
白虎が玄武に攻撃を……！
【ミユウ】
なに！？
白虎が玄武に侵攻したのか！？
【エース】
違う、【消滅】だ！
白虎の新兵器により、玄武領そのものが消滅した！
【ミユウ】
バカな！？
白虎の科学とは、それほどのものなのか……！
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